顎関節症
- Q. 「カクッ」と音が鳴るだけなら、放置しても大丈夫ですか?
- A. 痛みや口の開きにくさがなければ、すぐに治療が必要なわけではありません。
しかし、音が鳴るのはあごの関節のクッション(関節円板)がズレているサインです。放置すると、ある日突然口が開かなくなる「ロック」状態になるリスクがあります。態癖(頬杖や寝相)を改善するだけで音が軽減することもあるため、一度チェックを受けることをお勧めします。 - Q. 顎関節症は、手術が必要になることはありますか?
- A. ほとんどのケースで、手術をせずに改善します。
当院で行っているようなマウスピース治療、行動認知療法、物理療法(マッサージやストレッチ)などの「保存療法」で、8割から9割の方は症状が改善します。手術が必要になるのは極めて稀なケースです。 - Q. 「態癖」を直すだけで、あごの痛みは消えますか?
- A. 効果が出る方がたくさんいらっしゃいます。
例えば「寝る向きを変えただけ」「テレビを見る時の姿勢を正しただけ」で、長年のあごの痛みが消えたという症例も少なくありません。
マウスピースはあくまで補助であり、最大の治療薬は「ご自身の習慣の改善」です。 - Q. 顎関節症と「肩こり・頭痛」には関係がありますか?
- A. 非常に深い関係があります。
あごを動かす筋肉は、こめかみや首、肩の筋肉と連動しています。
あごが緊張し続けると、これらの筋肉も慢性的にこわばり、緊張型頭痛や肩こりを引き起こします。あごの治療を始めたら、長年の持病だった肩こりが軽くなったという患者さまも多くいらっしゃいます。 - Q. 市販のマウスピースで治せますか?
- A. お勧めしません。かえって悪化させるリスクがあります。
市販品は噛み合わせの調整がなされていないため、装着することで特定の歯に負担がかかり、逆にあごの関節を痛めてしまうことがあります。
顎関節症の治療には、歯科医師による精密な調整が不可欠です。
「口を大きく開けると、あごの関節がカクッと鳴る」
「硬いものを食べるとあごが痛む、疲れやすい」
「朝起きたとき、あごの周りがこわばって口が開けにくい」
あごの違和感は、放っておくと食事や会話といった日常の楽しみを奪うだけでなく、慢性的な頭痛や肩こり、自律神経の乱れにまで繋がることがあります。
かつて顎関節症は「噛み合わせの悪さ」だけが原因だと考えられていました。
しかし現在では、日常生活の中の何気ない習慣(態癖)やストレス、食いしばりといった「多因子」が積み重なって許容量を超えたときに発症することが分かっています。
雪が谷大塚の「しみず歯科」では、マウスピースによる物理的な保護に加え、行動認知療法や生活習慣(態癖)の指導を軸にした、お身体に優しい根本治療を行っています。
顎関節症の「3大症状」をチェック
1. 顎関節痛・筋痛(あごや筋肉の痛み)
最も自覚しやすい症状ですが、実は「関節が痛い場合」と「筋肉が痛い場合」の2パターンがあります。
関節の痛み(顎関節痛)
耳の穴のすぐ前方にある「顎関節」そのものが炎症を起こしている状態です。
口を開け閉めした時や、硬いものを噛んでグッと圧力がかかった時に、耳の付け根あたりに鋭い痛みを感じます。
筋肉の痛み(咀嚼筋痛)
あごを動かすための筋肉(頬の「咬筋」やこめかみの「側頭筋」)が、食いしばり等で筋肉痛を起こしている状態です。
重だるい痛みや、顔の横を触るとコリコリとした痛み(圧痛)があるのが特徴です。
2. 顎関節雑音(あごが鳴る音)
口を動かした時に音が鳴る症状です。音の種類によって、あごの中の状態が推測できます。
「カクッ」「ポキッ」という音(クリック音)
あごの関節の間にあるクッション(関節円板)が、本来の位置から前方にズレているサインです。
口を開ける瞬間に、ズレていたクッションがパチンと戻る時に音が鳴ります。
「ジャリジャリ」「ミシミシ」という音(クレピタス音)
症状が進行し、クッションが摩耗して無くなったり、あごの骨同士が直接こすれ合ったりしている音です。
これは「変形性顎関節症」の疑いがあり、早期の精密診断が必要です。
3. 開口障害(口が大きく開かない)
本来、健康な成人は指を縦に3本並べてスムーズに入ります(約40〜50mm)。
これが困難になるのが開口障害です。
口が途中で止まる
ズレたクッション(関節円板)が邪魔をして、あごの骨がスムーズに前にスライドできなくなっています。
「クローズドロック」状態
ある日突然、あごが引っかかったようになり、指1〜2本分しか開かなくなる状態です。
無理に開けようとすると激痛が走ります。この状態を放置すると、関節の癒着が進み、治療が困難になるため、早急な受診が不可欠です。
実はこれが最大の原因? 知られざる「態癖(たいへき)」の影響
当院が治療において最も重視しているのが、患者さまが無意識に行っている「態癖(たいへき)」の改善です。 態癖とは、日常生活の中で知らず知らずのうちに歯やあごに力をかけ続けてしまう習慣のことです。
顎関節を壊す代表的な「態癖」
頬杖(ほおづえ)
手のひらであごを支える力は、想像以上に強力です。毎日繰り返すことで、あごの関節が横にズレてしまいます。
うつ伏せ寝・横向き寝
数時間にわたり、自分の頭の重さ(約5〜6kg)があごの関節に一点集中してかかり続けます。
唇や爪を噛む癖
特定の方向に持続的な力をかけ、関節のクッション(関節円板)を痛めます。
片側噛み
左右どちらか一方でばかり噛む習慣は、関節の負担を不均等にします。
当院では、リラックスしてお話を伺いながら、こうした「お口の癖」を一緒に見つけ出し、無理のない改善方法をアドバイスします。
「マウスピース(スプリント)」による物理的アプローチ
顎関節症の初期治療として非常に有効なのが、オーダーメイドのマウスピース(スプリント)です。
関節への負担軽減
マウスピースを装着することで上下の歯の間に適切な隙間を作り、あごの関節にかかる圧力を分散・緩和します。
筋肉のリラックス
噛む筋肉(咬筋・側頭筋)の緊張を解き、あごを安静な位置へと導きます。
歯ぎしり・食いしばりからの保護
就寝中の無意識な力から関節をガードします。
当院では精密な型取りを行い、お一人おひとりのあごの動きに合わせた「勝手に外れない・違和感の少ない」マウスピースを製作します。
脳の習慣を書き換える「行動認知療法」
マウスピースで保護しても、原因となる習慣が治らなければ再発してしまいます。
そこで重要になるのが、行動認知療法です。
本来、リラックスしている時の上下の歯は触れ合っていません。
しかし、ストレスや集中によって歯を接触させ続ける癖(TCH)があると、あごの筋肉は常に疲労し、関節が破壊されます。
TCHは無意識下で行われることがとどんどであるため、まずは歯が接触していることを意識していただくことから始めます。
具体的には「歯を離す」と書いた付箋を生活圏内に貼り、それを見た瞬間にあごの力を抜く訓練をします。
どんな時にあごに力が入っているか、ご自身で日記をつけたり意識したりすることで、無意識の行動を意識化し、改善へと導きます。
生活習慣の指導
行動認知療法に合わせて、下記のような生活習慣の改善も行います。
食事の工夫
痛みが強い時期は、硬いもの(フランスパン、イカ、ステーキ等)を避け、一口を小さくしてあごの可動域を抑えます。
あくびの注意
口を大きく開けるときは、あごの下を手で押さえるなどの工夫を伝えます。
姿勢の改善
猫背やスマホの長時間使用は、頭の位置を前に出し、あごを緊張させます。全身の姿勢についてもアドバイスを行います。
5. 顎関節症の治療の流れ・費用
| ステップ | 内容 | 費用(目安・税込) |
|---|---|---|
① 精密検査・診断 |
問診、触診、開口量測定、レントゲン撮影。態癖のヒアリング。 |
保険診療内(数千円) |
② 初期治療(スプリント) |
オーダーメイドマウスピースの製作・装着。 |
約5,000円〜(3割負担時) |
③ 習慣是正・リハビリ |
行動認知療法の指導、態癖の改善確認、マッサージ指導。 |
再診料・指導料 |
④ 経過観察 |
症状の消失確認と再発防止の定期メンテナンス。 |
メンテナンス費用 |
リスク・副作用
マウスピース装着初期は違和感や喋りにくさを感じることがあります。
また、極稀に噛み合わせに微細な変化が生じることがあるため、定期的な調整が必要です。
院長・副院長からのメッセージ|あごの痛みは「頑張りすぎ」のサインかもしれません
顎関節症に悩む方の多くは、責任感が強く、無意識にグッと力を入れて日常を駆け抜けている頑張り屋さんです。
あごが痛むのは、身体が「少し力を抜いて、休んでください」と発しているメッセージかもしれません。
しみず歯科では、単にマウスピースを渡すだけではありません。
あなたがどんな姿勢で仕事をし、どんな風に眠り、どんな時に歯を食いしばっているのか。
あなたのライフスタイルにじっくり耳を傾けます。
あごの力を抜くことは、心の力を抜くことにも繋がります。
「カクカク鳴るけれど、痛くないから大丈夫」と思わず、一度ご相談ください。
10年後も美味しく食事ができる健康なあごを、一緒に守っていきましょう。
よくある質問(FAQ) | 顎関節症編

